三田灯(36) – 松嶋菜々子

三田灯(36) – 松嶋菜々子
阿須田家に派遣された家政婦。昭和50年12月25日生まれ。他人には「家政婦の三田です」と名乗る。家事全般における洗練されたスキルと、1秒単位にも及ぶ時間の正確さ、さらに他人の言葉でさえ一字一句間違えず覚える記憶力を備え、あらゆる仕事を完璧にこなす凄腕の家政婦。また家事以外にも多様な分野・数学・現在のトレンドなどあらゆる知識を備えており、顧客の要望には「家政婦」の域に留まらずあらゆる面で対応できる。じゃんけん、ルービックキューブ、バスケットボールなどがとても強く物真似も達者で犬や猫の鳴き真似が出来る。ホームビデオの映像から一瞬で凪子の声を完璧にコピーし、肉親の義之をも完全に騙すほどだった。
外出時にはダウンジャケット(夏でも着用する)、息子の形見である帽子と腕時計、夫の形見であるドクターズバッグを愛用し、その中からは随時必要な物がドラえもんの四次元ポケットのように出てくる。
常人離れした能力を持っているが必要最低限のこと以外は口にしない上、いかなる時も喜怒哀楽を出さずロボットのように無機質な雰囲気を漂わせている。体温も希衣が驚くほど低い。また業務命令であれば、スキルの及ぶ範囲内なら一般人でも出来る簡単な作業から犯罪行為まで、その内容や社会慣習に関係なく「承知しました」の一言で「何でも」やってしまう。また弟にストーキングされた過去のトラウマから背後に立たれることを嫌い、背後から触れられると反射的に相手を投げ飛ばしてしまう。あらゆる面で人間離れした存在であり取り扱いに困るとして交代させられた経験も少なからずある。なお住民票上は晴海家政婦紹介所に住んでいるということになっているが、業務時間外にどこで寝泊まりしているのかは晴海も知らず、休日には決まって遊園地内の飲食コーナーでファミリーセットを買い特定の席に座り、そこから閉園まで全く動かず何かを見つめるように過ごしている。
幼少期に川で溺れた自分を助けようとした父親が溺死、それ以来母親に疎まれるようになる。母親の再婚後は継父からの劣情と、母の再婚後生まれた弟との差別的扱いに苦しみながらも家政婦として出入りしていた晴海に励まされながら懸命に笑顔で暮らしてきた。成長し結婚、息子をもうけ一度は幸せを手に入れる。しかし、異父弟が三田に歪んだ愛情を抱きストーカー行為を始め、それを知った夫から拒絶された弟が逆上し家に放火、夫と息子を焼死させたうえ自殺する。実母と義母の双方から「お前の笑顔が何もかも台無しにした。もう謝らなくていい、死ぬまで二度と笑うな」と言われたことで、自ら笑わないと心に誓うようになる。よって「笑え」という指示は業務命令でも決して遂行することもなく、過去の暴露もしくは笑顔を強制されるなら「お暇をいただく」と宣言している。自分が意志を持つと、周りの人が不幸になると思い込んでおり、命令された事だけをやればいいという理由で家政婦をやっている。過去に自殺を図ろうとした事もあったが、自分の意志では死ねなかった。
家庭に関する悩みを家政婦の職務を超え意見を求められるが「それはあなた達が決めることです」と冷たく突き放す。しかし阿須田家が追い詰められた時には彼ら1人1人の想いを汲み取る行動・発言を見せており、一家から徐々に信頼を獲得していく。やがて三田の苦しみを察したいと願う阿須田家の想いに動かされ家族皆の前で自らの過去を全て語った後、約束通り阿須田家を去っていく。 結や海斗は、三田がどのような依頼でも引き受けるのは「死ぬ為」「死刑になる為」ではないかと考えている。
その後、皆川家に新しく派遣される。真利子に依頼され夫を尾行し不倫の裏付けを取る。絶望した真利子は一家心中を思い立ち、三田に「この家を家族ごと燃やして」と命令する。三田は翼の誕生日パーティー中にそれを本当に実行に移そうとし、動転した真利子が「あなたみたいな人は世の中の為に死ぬべきだ」となじると、自らに灯油をかけ「この機会を待っていた」と焼身自殺を図ろうとする。だが駆けつけた阿須田家の子供達の三田を想う気持ちに初めて感情を露わにしその場所から動けなくなる。
「一緒に食事を取ったり出掛けたりしない」「笑えと言われても笑わない」といった条件付きで再び阿須田家の家政婦として働き始めるも、夫と息子の幻影を観るようになり苦しむ。遊園地で現れた幻影に「阿須田家を愛してしまいそうで怖い」と本心を打ち明けるが、追いかけてきた兄弟達が目の前に立っていて全てを聞かれてしまう。
三田の本心を知った兄弟達の必死の説得により阿須田家に戻った三田は兄弟達から「『笑うな』と言われた事を忘れて」「お母さんになって」と頼まれ、それに対し「承知しました」と言う。