父親の年齢は子供の統合失調症リスクと関係がある
Schizophr Res 2011; Advance online publication
英語版 配信日 2011-04-13
MedWire News:オランダの研究が示唆するところによれば、父親の年齢は、子供の統合失調症、自閉症スペクトラム障害、大うつ病性障害リスクと関連があり、双極性障害リスクとは関連がない。
「疫学研究の分野では、父親の年齢が高いことと、自閉症や統合失調症、双極性障害といった、複雑な疾患との関連性を示唆するエビデンスが増えてきている」と、ユトレヒト大学医療センターのRoel Ophoffらは説明している。
しかし、父親の年齢が、こうした子供の精神疾患リスクに、それぞれ異なる影響を及ぼすかどうかは不明である。
そこでOphoffらは、統合失調症(2,564例)、自閉症スペクトラム障害(2,262例)、大うつ病性障害(8,284例)、双極性障害(1,121例)の患者14,231例と、出生年、出生場所、性別を患者と一致させた精神的健常者56,924例について、出生時の父親の年齢を調べた。
平均収入、両親の年齢差、人種・民族的背景などの要因による補正を行った結果、父親の年齢と、子供の統合失調症、自閉症スペクトラム障害、大うつ病性障害の間には、有意な関連性が認められた。
たとえば、父親が35歳を超えてから生まれた子供は、父親が25~29歳のときの子供に比べて、統合失調症の発症リスクが1.27倍高かった。また、40歳を超えてから生まれた子供は、20歳未満で生まれた子供に比べて、自閉症スペクトラム障害の発症リスクが3.3倍高かった。
父親の年齢と子供の大うつ病性障害の関連性は、U字型の関係を示し、出生時の父親の年齢が最も低い群(20歳未満)と最も高い群(40歳より上)が、特にリスクが高かった。
父親の年齢と子供の双極性障害発症の間には、有意な関連性は見られなかった。
Ophoffらは次のように結論づけている。「一般住民を対象とした今回の大規模研究では、父親の年齢と、子供の自閉症スペクトラム障害、統合失調症、大うつ病性障害の有病率の間には関連性が認められたが、双極性障害との間に関連性は認められなかった」。
父親の年齢と子供の統合失調症リスク、自閉症スペクトラム障害リスクの関係は、感情障害とは異なっていた。これは「生物学的・心理社会的機序が異なることを表している可能性がある」。