骨盤はゆがみません

採録

骨盤はゆがみません!!

「骨盤の歪み(ゆがみ)を矯正しましょう」、「骨盤の歪みは万病のもとです」などは整体や接骨院に行くとよく言われます。しかし整形外科では言われないはずです。この差は何でしょう?
レントゲン撮影をして骨盤がゆがんでいること、それは骨折でもしない限りはあり得ません。しかし、骨盤の左右どちらかが下がったり上がったり、骨盤が時計回りか反時計回りに回転したり、骨盤が前に倒れたり後ろに倒れたり、そんなことはよくあります。そういう事象を整体や接骨院では「骨盤がゆがんでいる」と言ってしまっています。これは日本語として大きな間違いで、不必要に患者さんの不安をあおるだけです。こういってもピンとこない方が多いと思いますので、(分かりやすい?)例えを出して説明しますね。 
 
壁に額縁入りの絵画がかかっているとします。誰かが触ってしまったのか右が少し落ちて傾いていると想像してください。この場合の額縁が骨盤に相当するわけです。あくまでも額縁(骨盤)が傾いているだけで、額縁(骨盤)そのものがゆがんで中の絵がはずれそうになっているのとは違いますよね。だから額縁(骨盤)の形自体を矯正する必要はなく、傾きを直すように右を持ち上げればいいだけのことですよね。人体の場合、骨盤の傾きや回転が変わるのは骨盤周囲の筋肉の緊張が均等でない場合です。だから整骨院や整体で実際にやっていることは、筋肉の緊張を均等に整えるようにマッサージやストレッチをやっているだけです。それはある意味、自分自身でもできます。
「骨盤がゆがんでいる」というのは間違った日本語で、骨盤自体の形は正常なのですが骨盤の周りの筋肉の緊張が一様でないので「骨盤の向きが変わっている」という事なのです。これはぜひ覚えておいてください。
このほかに「骨盤がずれている」という言われ方をする場合もあります。これも上記と同じで実際は「骨盤の向きが変わっている」だけです。なかには通の整体師がいて「仙腸関節がずれるんだよ!」などとムカつき顔で反論されるかもしれません。しかし仙腸関節なんてものはお産の時にわずかに動くくらいで、通常ではほとんど動きません。そんなに簡単に動くなら尻餅をついたときに簡単にずれてしまいます。そんな軟弱なものではありません。これでも反論される整体師さんがいるなら、私が実験台になりますから透視レントゲンで骨盤を映しながら動くところを見せてください。ちなみに手で押して1ミリ2ミリ動いたというのは動いたうちに入りませんよ。米俵かつげば大腿骨だって数ミリはしなりますから。そういうのを病的状態とはとても言えません。 正常範囲内です。
骨盤がゆがむ、骨盤がずれる、そういうのは居酒屋さんのお通しみたいなものです。接骨院や整体に行くと頼んでもいないのに出てきちゃう言葉だから・・