“1950年から1970年までの親や教員の口にするしつけの言葉の8割は「はやく、ちゃんと、きちんと」でした。これは品質の高い製品をつくるために必要な考えで、これらを身につけることが能力と見なされたわけです。社会がそういう資質を評価する変化を遂げるにつれ、問題とされるようになったのが、知的障害や脳性麻痺です。つまりモノを生産する社会では能力がないとされた人たちです。 社会と障害や病との関係は深く、たとえばヨーロッパで工業化が始まった頃、統合失調症が問題にされるようになりました。合理的生産性にまったくそぐわな

“1950年から1970年までの親や教員の口にするしつけの言葉の8割は「はやく、ちゃんと、きちんと」でした。これは品質の高い製品をつくるために必要な考えで、これらを身につけることが能力と見なされたわけです。社会がそういう資質を評価する変化を遂げるにつれ、問題とされるようになったのが、知的障害や脳性麻痺です。つまりモノを生産する社会では能力がないとされた人たちです。
社会と障害や病との関係は深く、たとえばヨーロッパで工業化が始まった頃、統合失調症が問題にされるようになりました。合理的生産性にまったくそぐわないことが精神病とされたのです。それまでの自然的な社会では、神の声を聴くといった夢うつつの状態は自然現象で、だから巫女などもいたわけです。それが合理主義の到来とともに病とされるようになりました。”