衆院憲法審査会で憲法学者3人がそろって「憲法違反」との見解を示したことに関しての各新聞社の反応 朝日新聞社説:「違憲」法制―崩れゆく論議の土台 およそ法たり得ないものが国会で論議されているという根本的な指摘に、政府と与党は耳を傾けるべきだ。  衆院憲法審査会で憲法学者3人がそろって「憲法違反」との見解を示した。ほかの多くの憲法学者や日本弁護士連合会も相次いで声明を出している。    内閣の提出した法案が、国会の場

衆院憲法審査会で憲法学者3人がそろって「憲法違反」との見解を示したことに関しての各新聞社の反応
http://mediawatchjapan.com/

朝日新聞社説:「違憲」法制―崩れゆく論議の土台

http://www.asahi.com/paper/editorial.html
 およそ法たり得ないものが国会で論議されているという根本的な指摘に、政府と与党は耳を傾けるべきだ。
 衆院憲法審査会で憲法学者3人がそろって「憲法違反」との見解を示した。ほかの多くの憲法学者や日本弁護士連合会も相次いで声明を出している。
 
 内閣の提出した法案が、国会の場で次々と「違憲」の烙印(らくいん)を押されるのは異常事態と言うほかない。もはや論議の土台が崩れつつあるのではないか。
 ところが、中谷防衛相ら政府側は「行政府による憲法解釈の裁量の範囲内」と言い切る。
 根源的な問いかけを無視し、なにごともなかったかのように国会審議を続けるとしたら、法治国家の体をなさない。
毎日新聞社説:安保転換を問う 「違憲法案」見解
http://mainichi.jp/opinion/news/20150606k0000m070164000c.html
 ◇根本的な矛盾あらわに
 集団的自衛権の行使は、憲法上「許されない」としてきた解釈を「許容される」へと逆転させる。こんな解釈改憲を認めれば、憲法の規範性は損なわれ、憲法に対する国民の信頼は失われかねない。安全保障関連法案がもつ根本的矛盾が改めて突きつけられたと言えよう。
小林節・慶応大名誉教授も「後方支援は日本の特殊概念で、戦場に後ろから参戦するだけだ」と語った。
 関連法案の根幹をなす集団的自衛権と後方支援の2分野で、重大な違憲の疑義が示された。与野党は、憲法との関係について、集中審議を開くなど徹底的に議論すべきだ。
東京新聞社説:安保法制審議 違憲でも押し通すのか
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2015060602000141.html
 やはり憲法違反との疑いは免れない。集団的自衛権の行使を可能にする安全保障法制である。安倍内閣は憲法学者の指摘を重く受け止め、「違憲法案」を強引に成立させることがあってはならない。
長谷部氏ら三氏以外にも、全国の憲法学者二百人近くが法案に反対する声明を出している。
 政府は法案撤回に応じるか、せめて今国会成立は断念すべきだ。憲法学者の警告を無視し、国会での議論も尽くさず、「夏までに」という米国との約束を盾に、違憲法案の成立を急ぐべきではない。
信毎新聞社説:安保をただす 政府の法案 憲法違反の指摘は重い 06月06日(土)
http://www.shinmai.co.jp/news/20150606/KT150605ETI090007000.php
 そもそも今の憲法の下で許される法案なのか―。政府が今国会で成立を目指す安全保障関連法案には根本的な疑問がある。
 条文以前に問うべき点が専門家の指摘であらためて鮮明になった。衆院の憲法審査会に参考人として招かれた憲法学者がそろって法案を「憲法違反」と明言している。政府、与党は重く受け止めるべきだ。
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読売新聞社説:集団的自衛権 限定容認は憲法違反ではない
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/20150605-OYT1T50136.html
昨年7月の政府見解で決着したはずの憲法問題が今、蒸し返されたことに違和感を覚える。
参考人の長谷部恭男早大教授は「従来の政府見解の基本的論理で説明がつかないし、法的安定性を大きく揺るがす」と述べた。首をかしげたくなる見解である。
看過できないのは、政府提出法案の内容を否定するような参考人を自民党が推薦し、混乱を招いたことだ。参考人の見識や持論を事前に点検しておくのは当然で、明らかな人選ミスである。
 法案審議は重要な局面を迎えている。政府・与党は、もっと緊張感を持って国会に臨むべきだ。